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不要な電話やメールを減らし、確認済みの店舗へ案内を届ける流れをアイペンちゃんが示すイラスト

コラム

その営業、本当に会社のためになっていますか?――迷惑営業と成果主義

不要な電話やメールを減らし、確認済みの店舗へ案内を届ける流れをアイペンちゃんが示すイラスト

企業にとって営業は必要です。どれだけ良い商品やサービスでも、必要としている人に知ってもらえなければ、選択肢に入らないことがあります。

一方で、電話、メール、問い合わせフォーム、チラシなどで、一方的に連絡を受けた人が負担や不快感を覚えることもあります。成果の出方や受け止め方は、相手、内容、頻度、連絡方法によって異なります。それでも、少数の契約のために多くの人へ負担をかける方法が、長い目で見て本当に会社のためになるのかは、考え続ける必要があると私は考えます。

1.営業は、相手の時間を使わせてもらう行為でもある

仕事中の電話は、相手の作業を中断させる場合があります。必要としていない営業メールは、削除や仕分けの時間を増やすかもしれません。本来は顧客からの相談を受けるための問い合わせフォームに営業内容を送れば、窓口の目的そのものを使いにくくしてしまうおそれがあります。

地域によってはチラシが役立つこともあります。しかし、「チラシお断り」の意思表示がある場所へ投函することや、短い間隔で繰り返すことは、会社への印象を悪くする要因になり得ます。営業をする側は、相手の時間と生活の中へ入ることを、まず意識したいものです。

2.「仕事だから」で、相手への想像を止めない

営業担当者にも、目標や会社の方針、生活上の事情があります。だからといって、相手の都合を考えなくてよい理由にはならないと考えます。「自分が同じ連絡を受けたらどう感じるか」を基準の一つにすると、内容や頻度を見直しやすくなります。

3.責任の所在を、途中で消さない

会社は担当者の判断だと言い、担当者は上司や会社の方針だと言い、外部委託先は依頼された作業だと言う。このように責任が分かれると、相手にとって望ましくない方法でも改善されない場合があります。

営業の方法を決める会社、実行する担当者、仕組みを提供する事業者のそれぞれが、相手への影響を確認する役割を持つべきです。これは、以前ネット広告についてのコラムで扱った、表示できることと表示してよいことは別だという考え方にも通じます。

4.数字に現れにくい損失も考える

たとえば、1,000件へ電話をして5件の契約になったとします。この5件だけを見れば成果に見えるかもしれません。しかし、残りの人の中には、会社名を覚えて今後の取引を避ける人や、周囲へ印象を伝える人がいる可能性もあります。こうした影響は、電話件数や契約件数だけでは把握しにくい部分です。

営業の成果を確認するときは、契約数だけでなく、苦情、配信停止、断られ方、解約、再購入、紹介、問い合わせ時の反応なども、可能な範囲で見ます。数値の意味を読み取り、次の行動を決めるために、CRM(顧客関係管理)で接点と同意の状況を整理する方法もあります。ただし、記録の仕組み自体が、無差別な連絡を正当化するものではありません。

5.一度の連絡も、会社の印象をつくる

利用者は、営業担当者だけを見て会社を評価するわけではありません。電話の言葉、メールの送り方、フォームの使い方、断りを受けた後の対応も含めて、その会社の姿勢として受け取る場合があります。

短期の売上を優先するあまり、長期の信頼を損なっていないか。営業活動は、常にこの問いとセットで考える必要があります。

6.苦しい状況でも、別の方法を探す

売上が厳しい時期ほど、多くの電話やメールを送りたくなることはあると思います。しかし、連絡量だけを増やしても、必要としていない相手への負担が増えるだけかもしれません。

  • 提供する商品やサービスを、相手の困りごとに合う形へ見直す
  • 既存顧客との関係を深め、紹介につながる対応を整える
  • 役立つ情報を継続して発信し、相談しやすい状態をつくる
  • 売り込む前に、相手に必要な時期と内容を確かめる

時間はかかるかもしれませんが、信頼を積み重ねる方法を選ぶことは、弱さではなく長く事業を続けるための力になり得ます。

7.節度は、営業の質を高める

相手が望まない時に何度も連絡しない。断られたら無理に押し切らない。返信がないことを当然の拒否として受け止める場面を決める。こうした節度は、営業の勢いを弱めるためのものではなく、相手と長く関係を築くための基本だと考えます。

8.誰に、何を、いつ伝えるかを先に考える

大切なのは、連絡先を増やすことより、自社のサービスを必要とする可能性がある相手を理解することです。業種、地域、会社規模、公開されている事業内容、既存顧客からの相談、過去の問い合わせなどを手がかりに、相手の課題と時期を仮説として整理します。

ただし、個人情報や問い合わせ情報は、集めた目的、本人の意思、社内の取扱いルールを確認して扱う必要があります。本人の同意や利用目的を確認しないまま、別の営業へ流用することは避けるべきです。実際の取扱いは、契約内容や法令、専門家の確認が必要になる場合があります。

9.営業を始める前の確認

  1. 目的を決める。 契約数だけでなく、相手にどのような価値を届けたいのかを言葉にします。
  2. 対象と根拠を絞る。 誰が、どのような困りごとのときに役立つのかを整理します。
  3. 連絡方法とデータの扱いを確認する。 相手の窓口の目的、連絡停止の意思、利用目的、同意、社内の権限を確認します。
  4. 一度の案内を小さく試す。 内容、頻度、断りやすさを担当者以外も確認します。
  5. 成果と負担を一緒に記録する。 反応、相談、契約だけでなく、苦情、拒否、停止希望、継続や紹介も見ます。
  6. 続ける・止める・直すを決める。 相手への負担が大きいと判断した方法は、件数が出ていても見直します。

おわりに

営業は、売り込む回数を競うことではなく、必要としている相手に、必要な内容を、適切な方法で届けることに近づけるべきだと思います。目先の数字だけではなく、相手がどう受け取ったか、会社への信頼がどう変わったかまで考える。その積み重ねが、会社にとっても利用者にとっても、よりよい関係につながるのではないでしょうか。

関連リンク

営業先の情報取得・連絡時の扱いを確認するには、個人情報を参照してください。