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電話で相談するカメの隣で、アイペンちゃんが復旧の確認ボードを示している

コラム

ランサムウェア被害、警察への相談が復旧につながる――中小企業が備えておきたいこと

電話で相談するカメの隣で、アイペンちゃんが復旧の確認ボードを示している

ランサムウェアの被害に遭ったとき、警察への相談がデータの復旧につながる場合があります。被害を自社だけで抱え込まず、早い段階で相談する。その選択肢を、経営者も現場の担当者も知っておく必要があります。

2026年9月12日の読売新聞オンラインは、警察庁が開発した復元ツールによって、国内41社の約2,000万件のファイルが回復したと報じました。ツールは100か国以上で利用されているといいます。元記事(Yahoo!ニュース掲載)

被害を受けた企業にとって、心強いニュースです。同時に、復元できるまでの仕事をどうするかも、自社の問題として考えておきたいところです。

警察は、被害を届け出るだけの場所ではない

ランサムウェアは、業務データを暗号化して使えなくし、復元などの対価として金銭を要求する不正なプログラムです。

突然、受注情報や会計データが開けなくなれば、「早く元に戻したい」と考えるのは当然です。しかし、身代金を払ってもデータが戻る保証はありません。

警察庁は、被害に遭った場合、最寄りの警察署やサイバー犯罪相談窓口への通報・相談を案内しています。また、LockBitの復号ツールについては警察への連絡を案内し、Phobos/8Baseの復号ツールも公開しています。復号とは、暗号化されたデータを元に戻すことです。警察庁「ランサムウェア被害防止対策」

ただし、どの被害にも同じツールが使えるわけではありません。対応する種類や条件があるため、自己判断で復旧を進める前に、警察や専門の支援先に相談することが大切です。

データが戻っても、復旧までの負担は残る

記事では、被害企業が仕入れデータを参照できなくなり、紙の請求書から取引記録を入力し直した事例も紹介されています。元記事

ここに、業務改善の視点で考えたい問題があります。

データを使えない間も、納品日や支払日は近づいてきます。担当者は通常の仕事に加えて、記録の確認、取引先への連絡、入力のやり直しを担うことになります。

たとえば、自社の受注システムが明日から使えなくなった場合、今日までに受けた注文を確認できるでしょうか。出荷済みの商品と、これから出荷する商品を区別できるでしょうか。

こうした確認ができなければ、復旧後にも二重出荷や請求漏れを調べる作業が残ります。対策を考えるときは、データの保護とあわせて、仕事を続ける手順まで用意しておく必要があります。

バックアップは、戻せるところまで確認する

バックアップについては、「毎日取っている」という確認だけでは足りません。

IPAは、バックアップ用の装置や媒体を複数用意すること、バックアップ時だけ接続するなど保管方法を工夫すること、定期的に復元できるか確認することを案内しています。IPA「中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き」

社内では、次の点を具体的に確認しておきたいところです。

  • 受注・会計など、仕事の再開に必要なデータが保存対象に入っているか
  • どの時点のデータまで戻せるか
  • 復元する担当者と手順が決まっているか
  • 実際に復元し、必要なデータを利用できるか

保存の成功と、業務の再開は別の確認です。必要なファイルを取り出せても、業務ソフトで使えなければ仕事は再開できません。

システムが止まったときの役割を決めておく

専任のIT担当者がいない会社でも、事前に決められることはあります。

まずは、異常を見つけた人が誰へ連絡するか。次に、警察や保守会社への相談を誰が担当するか。そして、受注・出荷・請求など、どの業務から再開するかです。

連絡先や対応手順は、社内システムが使えない状態でも確認できるようにしておきます。代替手段で受け付けた注文などを、復旧後に誰が照合するかも決めておくと、記録の抜けや重複を減らせます。

IPAも、ランサムウェア被害への対応には、システム部門だけでなく、事業部門や経営者の判断と事前準備が必要だとしています。IPA「ランサムウェア被害から学ぶ教訓集」

まずは、相談先と一つの業務を確認する

今回のニュースから、警察への相談によって被害回復につながる可能性があると分かります。その情報を、被害が起きる前に社内で共有しておきたいと思います。

そのうえで、まず一つ、止まると困る業務を選んでください。受注でも、出荷でも、請求でも構いません。

「明日、このシステムが使えなくなったら、誰が何を確認して仕事を続けるか」

その問いに沿って、相談先、必要なデータ、代替手順を確認する。そこまで準備しておくことが、被害時の混乱を減らす具体的な一歩になります。

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