接客で受けた不誠実な対応は、顧客に残ります。店員本人は多くの対応の一つとして覚えていないかもしれません。しかし顧客にとっては、その店を判断する材料になります。
一人の対応が、その会社全体の評価になることがあります。店員の教育と、良い対応を増やす仕組みは、顧客の信頼を守るための業務改善です。
顧客は、強く印象に残った対応を覚えている
普通に案内され、問題なく買い物が終わった場合は、店名まで覚えていないこともあります。反対に、横柄な態度、説明のない拒否、困っているのに放置された経験は残ります。とても親切に対応してもらった経験も同じです。
口コミで「この店は店員の態度が悪い」と書かれているとき、書いた人の受け取り方だけで決めつけることはできません。顧客側に問題がある場合もあります。それでも、企業側が事情を聞き、誠実に説明していたかは重要です。対応の経緯が分かれば、第三者が読んでも顧客側の問題だと判断できることがあります。
マニュアルどおりは、説明にならない
店員が「マニュアルどおりにした」と言う場合があります。個人を責める前に、そのマニュアルで困っている顧客にどう対応するかが決まっているかを確認する必要があります。
例外が起きたときに、誰に確認するか。断るときに何を説明するか。待たせるときにいつ状況を伝えるか。こうした判断を現場任せにすると、担当者ごとに対応が変わります。実際に起きた問い合わせや苦情をもとに、マニュアルと研修を見直す方がよいと考えます。
良い対応を共有する仕組みを作る
社員同士で、別の社員の良い対応を見つけて伝える仕組みは検討する価値があります。褒めた人と褒められた人の両方にポイントを付ける方法であれば、良い行為を見つける側にも参加する理由ができます。
ただし、ポイントを付けること自体が目的になると形だけになります。何を褒めるのかを具体的にします。たとえば、困っている顧客に代替案を示した、引き継ぎ時に必要な情報を残した、待ち時間を説明した、といった行為です。事例を共有すれば、社員は会社が求める対応を理解しやすくなります。
アプリは、褒めるために使う
投稿をアプリで受け付け、休憩時間に短く記録できるようにする方法もあります。管理者は投稿内容を確認し、基準に合う行為には追加ポイントを付けます。管理者が内容を見ていることが分かれば、制度への信頼にもつながります。
始める前に、投稿項目、公開範囲、ポイントの基準、確認する担当者を決めます。顧客名や相談内容を記録するなら、個人情報を不要に入力しない運用も必要です。件数だけを競わせず、顧客対応の改善につながった事例を定期的に確認します。評価する指標は、投稿数ではなく、再発した困りごとの数や顧客からの具体的な評価など、目的に合わせて決めます。
問題行為の通報制度は慎重に扱う
反対に、他の社員の悪い行為を見つけて報告させる仕組みは、慎重に扱う必要があります。事実確認が不十分なら、誤った報告や社員同士の不信感につながります。改善が必要な行為は、管理者が事実を確認し、本人への指導とマニュアルの見直しで扱うべきです。
顧客対応を良くするために必要なのは、監視を強めることではありません。現場が判断できる基準を示し、良い対応を共有し、管理者が責任を持って支えることです。その積み重ねが、顧客から選ばれ続ける会社につながります。
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