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担当者がチェックリストを確認し、アイペンちゃんが書類と情報保護の印を指しているイラスト

コラム

生成AIの「学習データ」はどう変わる?政府が進める知的財産保護と、私たちが考えるべきこと

生成AIを業務で使う場面が増えるほど、「便利かどうか」だけでなく、入力した情報と生成物をどのように扱うかを決める必要があります。日本政府も、生成AIの技術発展と知的財産の適切な保護を両立させるため、事業者に透明性と知的財産保護の取組を求めるプリンシプル・コードを進めています。

担当者がチェックリストを確認し、アイペンちゃんが書類と情報保護の印を指しているイラスト

今回の動きは、AIを一律に禁止するルールではありません

内閣府が公表した案は、生成AI事業者が行う透明性の確保と知的財産権保護のための原則を定め、技術の進歩と権利保護の両立を目指すものです。2026年6月には、政府が知的財産推進計画2026において、このプリンシプル・コードを策定する方針を示しました。制度の最終的な内容や適用は今後の一次情報で確認が必要ですが、利用者に直ちに個別の新しい義務を課す制度だと断定することはできません。

利用者にとって大切なのは、AIの性能だけで選ばず、提供事業者がどのような情報を示し、入力データや知的財産をどう扱うサービスなのかを確認することです。

なぜ、業務で使う人にも透明性が関係するのか

社内で文章、画像、要約を作る担当者は、生成物を公開・納品・広告利用する前に、事実や権利上の問題がないかを確認します。その判断には、サービスの利用規約、入力データの保存・学習利用に関する設定、問い合わせ先、知的財産への対応方針が役立ちます。AI(生成AI)は案を作る補助であり、公開や利用の可否を決める担当者の代わりにはなりません。

まずは「入力前確認」を業務の手順にする

企業や個人事業者が小さく始めるなら、AIに入力する直前に、担当者が次の順で確認する運用が実用的です。

  1. 仕事の目的を決める。 例として、社内メモの要約、公開前の文章のたたき台、匿名化した問い合わせ傾向の整理など、対象業務と出力の使い道を一つに絞ります。
  2. 入力データを分類する。 個人情報、顧客情報、未公開資料、契約内容、認証情報、他者の著作物を含むかを確認します。含む場合は、そのまま入力せず、削除・置換・匿名化できるかを担当者が判断します。
  3. 利用するサービスの公式情報を確認する。 入力内容の保存、学習利用の扱い、法人向け設定、権限、問い合わせ窓口、利用規約を、導入時と見直し時に確認します。
  4. 生成物を人が確認する。 事実の裏付け、既存の作品との過度な類似、引用や権利者の表示が必要な内容、顧客・取引先へ出してよい表現を確認します。
  5. 判断を残す。 利用目的、入力したデータの種類、確認者、公開・利用の可否、問題があった場合の対応を、既存の業務記録に残します。

入力できることと、利用してよいことは別です

有料記事、写真、イラスト、書籍、他社デザイン、社外秘資料などをAIに入力できる技術的な状態でも、複製・利用・共有が許されるとは限りません。「この作品と同じように」と再現を求める使い方も、類似性や権利の問題を招くおそれがあります。個別の権利関係や契約の判断が必要な場合は、権利者、社内の責任者、または専門家に確認してください。

社内ルールは、禁止だけで終わらせない

一律の「AI使用禁止」では、現場が判断に迷い、個人ごとの利用に流れることがあります。代わりに、入力してよい情報、承認が必要な情報、入力してはいけない情報を具体例とともに決めます。たとえば、公開済みの自社資料は可、個人情報と認証情報は不可、契約書は承認済みの環境で担当者確認後に限る、といった区分です。

特に、外部サービスへの不適切な入力はデータ流出の起点になり得ます。AIの利用ルールは、情報の分類、アクセス権、保管期間、異動・退職時のアカウント停止、誤入力時の連絡先と停止手順まで含めて見直します。

効果は「安全に使えたか」も含めて確かめる

小さく試す期間には、作業時間だけでなく、確認で差し戻した件数、入力を止めた件数、ルールが分かりにくかった場面、問い合わせ先が機能したかも記録します。時間短縮だけを目的にして確認を省くと、修正や事故対応の負担が後から増えることがあります。結果を踏まえ、使う業務、入力範囲、確認者を更新してください。

関連ページ

用語の基本はAI(生成AI)、入力情報を守る運用はデータ流出を参照してください。

記事の主題である学習データと入力前の情報確認を補うには、学習データ、個人情報を参照してください。

参考資料(確認日:2026年8月18日)