Skip to content
二つのAI回答を並べ、フクロウと一緒に資料を確認するアイペンちゃん

コラム

同じ質問でここまで違う――GeminiとChatGPTの食材回答から考えるAIの使い方

二つのAI回答を並べ、フクロウと一緒に資料を確認するアイペンちゃん

とろろ昆布、麹甘酒、皮付きピーナッツ、しらす、押し麦。この五つを一緒に食べた場合の効果と摂取量について、GeminiとChatGPTに同じ質問をしました。二つの回答を比べると、分かりやすい説明にも、慎重に見える説明にも、確かめるべき点がありました。

この記事は、食品の摂取量を勧めるものではありません。会話中に両AIが何を答え、どこに違いがあったかを整理し、仕事でAIの回答を使うときの確認方法を考えます。

食材ごとの回答の違い

表の数量は各AIが回答した当時の値です。ChatGPTは後で一部を訂正しており、読者向けの推奨量ではありません。単位が異なる甘酒の数値も、同じ条件として換算していません。

食材Geminiの回答ChatGPTの回答相違点・確認点
押し麦食物繊維が腸内細菌の餌になり、他の食材と合わせて「腸活」に役立つと説明。乾燥30~50gを提示。大麦のβ-グルカンに着目。個々の成分についての研究と、五品を組み合わせた効果を分けて説明。乾燥30~50gを提示。量はほぼ同じ。個々の食材の研究と五品の相乗効果は別として読む必要がある。
麹甘酒昆布や押し麦と合わせて便秘解消や免疫力向上につながると説明。100~150mlを提示。糖質を含む食品と位置付け、便通に関する研究と組み合わせの効果を区別。100~150gを提示。Geminiは効果を想像しやすい。ただし、この組み合わせで免疫機能が高まるとは確認できない。mlとgも単純には比較しない。
皮付きピーナッツ薄皮のポリフェノールを強調し、血管の健康や動脈硬化予防に結び付けた。10~15粒、約10~15gを提示。ポリフェノールが含まれることと、病気の予防効果が人で確かめられたかを分けた。初回15~25g、比較後15~20gを提示。成分があることと疾病を予防することは別。提示量も異なる。
しらすカルシウム源として紹介。昆布などと合わせたカリウムの働きを説明。20~30gを提示。押し麦に不足するたんぱく質やカルシウムを補うと説明し、塩分にも注意を向けた。20~30gを提示。量は同じだが着眼点が異なる。利点と同時に塩分も確認する。
とろろ昆布食物繊維やミネラルを補う食品とし、毎日3~5gを提示。ヨウ素にも注意と記載。初回は毎日1~2gを提示したが、比較後にその量も慎重さが足りなかったと訂正した。両AIの初回の量を毎日の推奨量として使わない。ヨウ素は他の食品からの摂取や個人の状態も関係する。

一緒に食べた場合の説明の違い

論点Geminiの回答ChatGPTの回答読み取り方
五品全体「非常に優れた相乗効果を発揮する組み合わせ」と評価。栄養面で補い合う可能性は示したが、五品を同時に食べた特別な効果を証明する研究は回答中に提示しなかった。栄養の補完と相乗効果の実証を区別する。
押し麦・昆布・甘酒と腸食物繊維と甘酒を結び付け、便秘解消や免疫力向上まで説明。食材ごとの研究を検討し、組み合わせによる健康効果は断定しなかった。甘酒を一律にプロバイオティクスとする説明にも疑問を示した。成分の働きから人での効果へ飛躍していないかを確かめる。
しらす・押し麦・ピーナッツと骨カルシウムとマグネシウムを2対1で摂ると骨への定着率が高まると説明。各食材が異なる栄養を補う点は評価したが、「2対1で定着率が高まる」という基準には根拠が示されていないと指摘。覚えやすい比率を確立した基準として扱わない。
甘酒の酵素他の食品のたんぱく質の消化・吸収を助けると説明。製品の加工や消化の過程を踏まえ、その効果を人で確認した根拠が回答中に示されていないと指摘。原料に酵素があることと食後の効果は別。
ピーナッツ・昆布と血管ポリフェノールやカリウムから、動脈硬化予防や血圧調整へ話を進めた。成分の存在、実験で見られる働き、人の疾病予防を分けて評価した。病気を防ぐという結論には直接の根拠を求める。
食べ方の提案「しらすととろろ昆布の雑穀粥」「甘酒と皮付きピーナッツ」など、料理として具体的。食事と間食に分ける案を提示。Geminiの料理案を評価しつつ、量と効果の説明は見直した。Geminiの具体性は参考になる。料理案の採用と健康効果の確認は分ける。
回答の訂正提示された回答内では、効果や量の訂正はなかった。比較を通じて自分が最初に示したとろろ昆布の量を訂正した。慎重に見える回答も初回から正しいとは限らない。

一番気になったのは、とろろ昆布の量

Geminiは3~5g、ChatGPTは最初に1~2gを毎日の目安として挙げました。その後、ChatGPTは自分の数字も訂正しました。ここで必要なのは、どちらの数字を採用するかを多数決で決めることではありません。食品のヨウ素量、他に食べているもの、甲状腺の状態など、回答にはない条件を確認することです。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のヨウ素の耐容上限量を1日3,000µgとしています。ただし、これは「とろろ昆布を何g食べてよいか」を一律に決めた数字ではありません。今回のAIの回答値を日々の食事にそのまま当てはめないでください。

仕事でAIの回答を使うなら

今回の一回の比較では、Geminiは料理まで想像できる提案が分かりやすく、ChatGPTは研究段階や危険性を分けて検討しました。ただし、製品やモデルの固定した優劣を示す比較ではありません。設定、参照資料、質問の仕方が変われば回答も変わります。二つのAIが同じことを言っても、それだけで事実とは確定しません。

例えば会社の担当者が、営業資料や社内向け説明文をAIで作るなら、次の順番で扱えます。

  1. AIに案を出してもらい、主張ごとに「事実・推測・未確認」を分ける。
  2. 間違えた場合に、顧客の判断、費用、安全、契約などへ影響する箇所を選ぶ。
  3. その箇所を元の規程、公的資料、製品資料などで確認する。
  4. 確認できない主張は削るか表現を弱め、担当者が公開・利用の可否を決める。

AIの長所は、答えを速く出すことだけではありません。回答を比べることで、調べるべき点や自分の見落としを見つけられます。分かりやすさ、根拠、安全性を別々に確認する。この手順を残すことが、仕事でAIを使うときの基本になります。

注:表は参照会話で得た回答内容の比較です。各食品の健康効果をこの記事で独立に検証したものではなく、表示した摂取量は推奨値ではありません。

関連リンク