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担当者がアイデアカードを比較し、アイペンちゃんが複数の案を示しているイラスト

コラム

AIに判断を任せるのではなく、判断するためにAIを使う

生成AIを使い続けることで、自分で考えたり判断したりする力が弱くなるのではないか。最近、こうしたAIへの依存を問題視する議論を目にすることが増えました。

担当者がアイデアカードを比較し、アイペンちゃんが複数の案を示しているイラスト

確かに、AIに何でも決めてもらい、その回答を疑わず受け入れるようになれば問題でしょう。ただ、実際にAIを仕事でかなり使っている私自身は、少し違った感覚を持っています。

AIの回答を判断することは、それほど苦痛ではない

私はAIから出てきた回答を、そのまま正しいものとして採用しているわけではありません。

  • これは違うのではないか
  • この考え方は使えそうだ
  • ここはもう少し調べた方がいい
  • 自分の場合には当てはまらない

そのように判断しながら使っています。そして、この判断自体を特に負担だとは感じません。むしろAIを使うことで、それ以前に必要だった作業が大幅に減りました。

何かについて考えるとき、以前なら検索を繰り返し、複数のWebサイトを読み、必要な文章を探し、資料を整理してから考え始める必要がありました。AIを使えば、その前段階をかなり短縮できます。浮いた時間を、「どの案が適切なのか」「自分ならどうするのか」「さらに改善できないか」という部分に使えるようになります。

私にとってAI(生成AI)は、考えることを減らす道具というより、考えるための材料を集める時間を減らす道具になっています。

AIのアイデアは意外と普通。でも、そこから発展できる

AIにアイデアを求めると、最初に出てくるものは比較的一般的なものが多いと感じます。「なるほど、誰も思いつかなかった」という回答ばかりが出てくるわけではありません。しかし、私はそこに十分な価値があると思っています。

例えばAIから10個の案が出てきて、その中に完成形が一つもなかったとしても、「この案とこの案を組み合わせたらどうだろう」「この部分だけ別の業種に応用できないか」「逆の発想にしたら面白いのではないか」と考えるきっかけになります。

最初のアイデアそのものより、そこから人間がどう発展させるかに価値があります。白紙の状態から一人で考え始めるより、たたき台があるだけで思考は進みやすくなります。AIには、この「最初の一歩を大量に作れる」という強みがあります。

「AIが言っているから正しい」は、やはり危険

一方で、「AIがそう言っているから正しい」という考え方には賛成できません。AIは間違えます。事実と異なる情報を出すこともあれば、こちらの質問の仕方によって回答が変わることもあります。

そして、ここでもう一つ気をつけたいのが、自分に都合のいい回答だけをAIに求めてしまうことです。例えば、自分ではすでに「こうしたい」と決めているのに、「この判断で間違っていませんよね」「こちらの方が正しいですよね」と、答えを誘導するような質問を繰り返せば、AIはその前提に沿った回答を返しやすくなります。

これは少し、占いに似ているところがあると思います。占いで自分に都合の悪い結果は信じず、都合のいい結果だけを信じる。別の占いを見て、自分が欲しかった答えが出るまで探す。AIでも同じように、自分の考えを肯定してくれる回答が出るまで質問の仕方を変えたり、別のAIに聞いたりすることはできます。

そうなると、AIは「考えるための道具」ではなく、自分の判断を正当化するための道具になってしまいます。これはAIの問題というより、人間側の使い方の問題だと思います。

問題はAIより「答えを外に求めすぎること」

「AIが言っているから」という理由だけで判断してしまう問題は、AIだけに特有のものでもありません。有名人が言ったから。テレビで紹介されたから。専門家らしい人が言っているから。多くの人が買っているから。CMで「おすすめ」と言っていたから。こうした情報を無条件で信じてしまうことと、本質的にはよく似ています。

重要なのは、情報を提供した相手が人間なのかAIなのかではありません。最後に自分で考える工程が残っているかどうかです。

自分に都合のいい回答だけを探すのではなく、「逆の意見はないか」「この考えの弱点は何か」「反対の立場ならどう考えるか」とAIに聞いてみる。そうすれば、AIは自分を肯定してくれる存在ではなく、自分の考えを検証する相手にもなります。

AI時代だからこそ、自分の判断にもう少し自信を持っていい

もちろん、何でも自分の感覚だけで判断すればよいという意味ではありません。法律や規則があります。仕事には業界ごとのルールがあります。社会生活にはマナーやモラルがあります。専門的な分野では、専門家に確認すべきこともあります。そうした一般的なルールや社会常識を踏まえることは大前提です。

そのうえで、正解が一つではない問題まで、「AIはどう言っているだろう」「他人はどう思うだろう」と必要以上に正解を外に求めなくてもよいのではないでしょうか。

AIに相談する。他人の意見を聞く。資料を調べる。それらはすべて判断材料です。最終的に、「いろいろ調べたが、自分はこう考える」と言えることが大切なのだと思います。

AIは「答え」ではなく、優秀な相談相手

私はAIの意見を絶対だとは考えていません。だからといって、AIを単なる検索ツールとも考えていません。資料を整理してもらう。別の視点を提示してもらう。自分では思いつかなかった選択肢を出してもらう。自分の考えに問題がないか反対意見を出してもらう。そこから自分で判断する。

この使い方なら、AIは人間から判断力を奪う存在ではなく、むしろ判断するための材料を増やしてくれる存在になります。AIに考えてもらうことと、AIに判断してもらうことは、似ているようで違います。さらに言えば、AIに自分を肯定してもらうこととも違います。

私がAIに期待しているのは、自分の代わりに結論を出してもらうことではありません。調査や整理に使っていた時間を短縮し、そのぶん、自分にしかできない判断や発想に時間を使う。必要なら、自分の考えに対する反論までAIに出してもらう。それが、今のところ私が感じているAIの最も大きなメリットです。

AIを使うから自分で考えなくなるのではなく、AIを使うことで、もっと自分で考えるための時間を作る。私は、そのような使い方をしていきたいと思っています。

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