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生成AIの仕事を複数の工程へ振り分け、処理量と費用の改善を確認するアイペンちゃんとフクロウのイラスト

コラム

AIは使えば使うほど得なのか――生成AIにも「業務改善」が必要になる

生成AIの仕事を複数の工程へ振り分け、処理量と費用の改善を確認するアイペンちゃんとフクロウのイラスト

生成AIを仕事に使う企業が増えています。

文章作成、調査、プログラム開発、データ分析、資料作成。

AIに任せられる仕事は急速に増えています。

ところが、AI活用が増えてくると別の問題が出てきます。

AIの利用コストです。生成AIの処理量と単価から生じる費用は、トークンコストとして管理できます。

人の仕事を効率化するために導入したAIにも、「無駄な処理をしていないか」「もっと安く同じ仕事ができないか」という業務改善が必要になり始めています。

NECはAIの実質的なトークンコストを10分の1へ

ITmediaが2026年9月10日に報じたNECの説明によると、同社は社内AI利用について、2026年4月時点と同じ使われ方をした場合の実質的なトークンコストを、上期中に5分の1、下期中に10分の1まで削減する目標を示しました。

  • 上期中に5分の1
  • 下期中に10分の1

重要なのは、「AIを使わないことで費用を減らす」のではないという点です。

AIの利用そのものは今後さらに増えることを想定しながら、同じ仕事を、より少ないコストで処理する方向を目指しています。

これは従来の業務改善と非常によく似ています。

参考:NEC、社内の“AIトークン節約”に注力 「同じ使われ方なら10分の1に」と小玉CAXO(ITmedia AI+、2026年9月10日)

AI利用量の確認、重複説明の削減、仕事別のAI振り分け、業務ごとの費用と成果の管理という4つの手順

高性能AIを全部の仕事に使う必要はない

生成AIでは一般的に、高性能なAIモデルほど複雑な仕事をこなせます。

しかし、「今日の日付を文章に入れる」「メールの文章を少し整える」「文章を100文字に要約する」といった仕事まで、常に最高性能モデルを使う必要があるでしょうか。

高性能モデルを使いたい仕事

  • 複雑な企画
  • 高度なプログラム開発
  • 複数資料の分析
  • 難しい判断支援
  • 長文レポート

軽量モデルでも対応しやすい仕事

  • 文体修正
  • 分類
  • 定型文作成
  • 短い要約
  • データ抽出

というように仕事を分類できます。

これは、高性能な社員にコピー作業ばかり任せないという組織運営と同じ考え方です。

AIに同じ説明を何度もしていないか

例えば毎回、「当社は○○を行っている会社です」「文章はこの形式にしてください」「この情報は出力しないでください」と長い説明をAIへ送っているとします。

1回では大した量ではなくても、100回、1,000回と繰り返せば大きな処理量になります。

そこで、次のような設定や情報を整理する価値が出てきます。

  • 共通プロンプト
  • テンプレート
  • カスタム設定
  • ナレッジ
  • システムプロンプト

これは単なる「AIテクニック」ではありません。

業務手順の標準化です。

AIにも適材適所がある

これからのAIシステムでは、利用者が毎回AIモデルを選ぶのではなく、仕事内容に応じて自動的にモデルを振り分ける仕組みも重要になるでしょう。

例えば、次のような使い分けです。

簡単な分類
    ↓
軽量AI

通常の文章作成
    ↓
標準AI

高度な分析
    ↓
高性能AI

こうした仕組みは「モデルルーティング」と呼ばれることがあります。

社員が「この仕事はどのAIを使おう」と毎回考えるより、仕事の内容によって適切なAIを自動選択する方が効率的です。

「AIを何回使ったか」ではなく「1業務いくらか」

企業がAI利用を管理するとき、「今月100万トークン使った」という数字だけを見ても、それが高いのか安いのか分かりません。

重要なのは、何の仕事に、いくらかかったのかです。

例えば、次のように業務ごとの所要時間で見る必要があります。

業務人だけの場合AI利用後
報告書作成60分15分
メール作成10分3分
資料調査120分30分

AI費用が数十円、数百円増えても、人件費や作業時間が大きく減るのであれば十分な効果があります。

逆に、高性能AIを大量に動かしているのに、社員の仕事がほとんど減っていなければ改善が必要です。

「AIだから無制限」は危険

生成AIは、人を1人雇用するよりはるかに安く大量の処理を行える場合があります。

そのため、「安いから、とりあえず全部AIにやらせよう」という発想にもなりやすくなります。

しかし自動化された処理は、人間よりはるかに速く大量に実行できます。

無駄なAI処理を1回行うことより、無駄なAI処理を自動で1万回実行することの方が問題です。

AIエージェントや自動処理が普及するほど、次のような仕組みも必要になります。

  • 回数制限
  • 費用上限
  • 処理ログ
  • 異常検知
  • 停止条件

AI導入後に「AI業務改善」が始まる

これまでの業務改善では、人が行っている仕事を調べ、無駄な作業を減らし、自動化できる部分をシステム化してきました。

これからはさらに、AIが行っている仕事自体も改善対象になります。

例えば、次のような作業です。

  • 不要なAI処理を減らす
  • 適切なモデルへ振り分ける
  • 共通情報を再利用する
  • 同じ処理を何度もさせない
  • AIの成果を測定する

AIを使うことから、AIを管理することへ

生成AI導入の初期段階では、「何にAIを使えるか」を考えることが重要でした。

しかし活用が広がれば、次は、「AIをどう効率的に運用するか」が重要になります。

人の仕事をAIで改善する。

そして、AIの仕事も改善する。

生成AIが企業活動の中に深く組み込まれるほど、この考え方は重要になっていくでしょう。

業務改善の対象に、いよいよAI自身も加わり始めています。