AIをある程度使っていると、会話履歴や保存した設定を参照する機能が有効な場合には、自分の好みや仕事の前提に近い答えが返ることがあります。ただし、AIが利用者ごとに必ず学習して精度を上げるわけではありません。プロンプトに業務の条件や判断基準が十分に書かれていなければ、回答にも限界があります。

そこで役立つのが、よく使う依頼文そのものをAIに改善してもらう方法です。次の一文を入力し、普段の依頼を一つ渡してみてください。
私がよく使うプロンプトを、より良いプロンプトに直した例を一つ挙げてください。
返ってきた案をそのまま採用するのではなく、自社の実際の業務に合うかを確認します。以下は、問い合わせ対応業務を例にした改善です。
例:業務改善アイデアを出してもらうプロンプト
元のプロンプト
この業務をAIで効率化する方法を考えてください。
このままでは、対象業務、困りごと、優先したい成果、AIに任せない判断が分かりません。そのため、AIを使う案だけが多くなり、すでに使っているメールのフィルタや受付フォームの見直しと比較しにくくなります。
改善版
# 依頼
以下の業務について、AIや既存のITツールを使った改善案を提案してください。
# 対象業務
問い合わせ対応業務
現在は、
- メールや問い合わせフォームから連絡を受ける
- 内容を確認する
- 担当者を決める
- 必要に応じて返信する
- 対応状況を個別に管理する
という流れです。
# 現在の困りごと
- 営業メールや迷惑メールの確認に時間がかかる
- 担当者への振り分けに手間がかかる
- 対応済みか未対応か分からなくなることがある
- 過去の問い合わせ内容を探すのに時間がかかる
- 同じような質問に毎回答えている
# 改善の目的
以下を優先してください。
1. 確認作業を減らす
2. 対応漏れを防ぐ
3. 担当者への振り分けを簡単にする
4. 過去の対応履歴を活用する
5. AIを使う場合でも、人が確認すべき部分を残す
# 提案してほしい内容
各改善案について、以下を説明してください。
- 現在の問題
- 改善方法
- AIを使う部分
- AIを使わない部分
- 導入難易度
- 費用の目安(未確認の価格は推測せず、確認先も示す)
- 導入による効果の見込みと、確認方法
- 想定されるリスク
# 重要な条件
- AIを使うこと自体を目的にしない
- 通常のメール機能やフィルタ、自動化で十分な場合はそちらを優先する
- 個人情報や機密情報を扱う場合の注意点も記載する
- AIによる完全自動返信は前提としない
- 中小企業でも運用できる現実的な方法を優先する
# 出力
最初に最もおすすめする改善案を示し、その後に段階的な導入案を
「簡単にできる改善 → 半自動化 → AI活用」の順でまとめてください。
何が変わるのか
改善版では、業務の流れ → 困りごと → 改善目的 → AIを使う範囲 → 制約 → 評価項目の順に前提を渡しています。AIは正解を保証する担当者ではなく、条件に沿って選択肢を整理する補助役です。どの案を採用するかは、担当者が現在の件数、対応時間、使える予算、既存ツール、情報の扱いを確認して決めます。
特に大切なのは「AIを使うこと自体を目的にしない」という一文です。営業メールの一次仕分け、担当者の割り当て、対応状況の一覧化は、まず既存メールのルール、フォームの必須項目、共有台帳、ワークフロー機能で改善できることがあります。AIが必要かは、単純なルールでは扱いにくい分類や要約が残るかを見て判断します。
使う前に確認すること
- 入力を整える: 実際の業務名、現状の流れ、困りごと、優先順位を書き出します。顧客名、連絡先、未公開の契約情報は入力しません。
- 候補を比べる: 「AIなしでできる案」「既存ツールでの半自動化」「AIを補助にする案」を並べ、費用、設定の手間、誤りや漏れを比べます。
- 小さく試す: 公開情報または匿名化したサンプルで、まず一週間分などの限定範囲を試します。
- 人の確認を残す: 担当者の割り当て、外部への返信、例外処理、個人情報を含む判断は、人が確定します。
- 効果を測る: 仕分けにかかる時間、対応漏れ件数、引き継ぎの戻し件数、同じ質問への回答回数を、導入前後で比べます。
AIが出した改善版を確認する質問
- 対象業務の流れと困りごとを、正しく理解しているか。
- AIを使わない、より簡単な方法も比べているか。
- 費用や対応できる機能を、根拠なく断定していないか。
- 個人情報・機密情報を外部サービスへ入れる前提になっていないか。
- 誰が、どの場面で最終確認するかが書かれているか。
- 試す範囲、失敗時に戻す方法、効果の確認方法があるか。
まとめ
質問を少し長くすることが目的ではありません。仕事の流れ、困りごと、優先順位、任せない判断を先に整理して渡すことで、比較・検討に使える回答に近づけます。よく使う依頼文から一つ選び、AIに改善案を出してもらい、自分の仕事に不要な条件を削り、足りない条件を足すところから始めてみてください。
関連リンク
依頼文の改善方法と繰り返す指示の設定を区別するには、プロンプトエンジニアリング、ChatGPTのカスタム設定(カスタム指示)を参照してください。
情報の確認先
- OpenAI Help Center: Reference saved memories:ChatGPTの保存メモリと会話履歴の参照設定について確認できます(2026年8月19日確認)。
- プロンプト:AIへ依頼や条件を伝える文章について、用語集で確認できます。