
一般企業向けなら、各部署に個別のAIを置くだけでなく、案件・依頼・情報を部署から部署へ自動で引き継ぐ「AI社内連携ハブ」を作る方法があります。
部署内の作業を速くしても、部署間の連絡、転記、確認待ちが残れば、会社全体の仕事は止まります。AI社内連携ハブは、人が次の部署へ一件ずつ連絡する代わりに、必要な部署へ必要な情報と作業を渡すための設計案です。
提案:「AI社内連携ハブ」
仮称はCompany Link AI。部署をまたぐ仕事をAIが追跡します。
営業 ↓ 受注 ↓ AI ├─ 総務 ├─ 経理 ├─ 在庫・購買 ├─ 制作・製造 ├─ 配送 └─ 経営
ポイントは、人が「次の部署へ連絡する」のではなく、AIが必要な部署へ必要な情報だけを渡すことです。
1.営業から全部署へ自動展開する
営業担当者が、次のように入力します。
A社からWebサイトリニューアルを受注。納期11月30日。予算180万円。
AIが内容を整理し、各部署へ次の処理を展開します。
| 部署 | AIが行う処理 |
|---|---|
| 営業 | CRM更新 |
| 経理 | 売上予定登録 |
| 制作 | 案件作成 |
| 管理 | 担当者候補提示 |
| 経営 | 売上予測更新 |
| 総務 | 契約書確認 |
| 購買 | 必要外注・資材確認 |

営業担当者が同じ情報を何度も入力する必要はありません。入力は一度にし、各部署は自分に必要な内容を確認します。
2.社内依頼AI
社員が「来週水曜日までに新しいPCが必要です」と入力した場合を考えます。
- 社員情報を確認する
- 現在のPCを確認する
- 上司承認が必要か判断する
- 情報システム部へ依頼する
- 購買へ見積もりを依頼する
- 経理へ予算を確認する
- 納期を確認する
- 社員へ結果を通知する
従来は、社員から上司、総務、情報システム、購買、経理へ順番にメールやチャットが飛び交います。AIを中心にすると、社員から受けた依頼を、必要な部署へ並行して確認する流れにできます。
3.案件カルテ
すべての案件について、案件名、顧客、担当営業、担当部署、進捗、契約、見積もり、納期、請求、入金、問題点、やり取り、関連ファイルを、一つの「案件カルテ」として管理します。
経営者が「A社案件はどうなっている?」と質問すれば、契約済み、制作進捗70%、納期11月30日、デザイン確認待ち、請求書未発行、顧客から素材が届いていない、といった状況をまとめて確認できます。
4.部署間の「待ち」を検出するAI
AIが案件を監視し、次のような停止を検出します。
- 営業から制作部へ仕様が渡っていない
- 制作完了から3日経過しているが、請求処理が始まっていない
- 購買部の承認待ちで製造開始が遅れている
仕事をするAIだけでなく、仕事が止まっている場所を見つけるAIとして使います。企業では、この機能の方が費用対効果を確認しやすい場合があります。
5.AI引継ぎシステム
人事異動、休暇、退職時の引継ぎにも使えます。AIが担当案件、未完了タスク、顧客との約束、メール、会議、ファイル、注意事項から引継書を作ります。
新しい担当者は、「この案件で注意することは?」と質問し、過去の記録から必要な情報を確認できます。
6.会議を各部署の仕事へ変換する
部門横断会議で「商品Aを10月発売」「原価確認」「パンフレット制作」「販売店通知」が決まったとします。AIが会議内容を整理し、製造には原価確認、営業には販売計画、広報にはパンフレット制作、経理には利益率計算というタスクを作ります。
議事録を作って終わるのではなく、決定事項を担当部署の仕事へつなぎます。
7.Astraを積極的に使うなら
GPT-6 Astraは、従来の「回答生成」だけでなく、ソフトウェア上で複数ステップの作業を実行する用途が強化されています。CRM更新、フォーム入力、資料作成、表計算処理などを一連の仕事として扱えることが重要です。対応機能はOpenAI公式のGPT-6 Astraモデル情報で確認できます(2026年9月6日確認)。
営業担当
「A社から注文が入った」
↓
Astra
↓
CRMを開く
↓
案件登録
↓
在庫システム確認
↓
発注
↓
Excel売上表更新
↓
請求書作成
↓
メール下書き
↓
担当部署通知

この構成では、Astraが処理の流れをつなぎます。ただし、確定、発注、請求、送信などの重要な処理は、権限のある人が確認・承認します。
8.部署AIを複数配置する構成
統括AI
│
┌────┬────┬────┬────┐
営業AI 経理AI 総務AI 制作AI 経営AI
│ │ │ │
CRM 会計 人事 案件管理
たとえば営業AIが「180万円で受注予定」と判断したとき、経理AIは「粗利率が基準以下」、制作AIは「現在の人員では納期が厳しい」と指摘できます。統括AIは「価格を200万円にするか、納期を2週間延長する」という提案を作ります。
これがマルチエージェント型の社内システムです。ただし、AIの提案をそのまま確定せず、価格、納期、契約条件、担当者は責任者が判断します。
9.最初は案件管理と部署間通知から始める
第1段階
案件管理と部署間通知から始めます。
依頼受付 ↓ AI分類 ↓ 担当部署決定 ↓ タスク作成 ↓ 進捗監視 ↓ 遅延通知
第2段階
メール、カレンダー、CRM、会計システムを連携します。
第3段階
AstraによるPC操作を、対象画面と権限を限定して追加します。
第4段階
必要性を確認したうえで、複数の部署AIと統括AIへ広げます。
会社の詰まりマップ
このアプリに加えたいのが、「会社の詰まりマップ」です。AIが部署ごとの仕事量、承認待ち、情報到着までの時間を整理します。
営業 ████████ 80% 制作 ██████████ 100% 経理 ████ 40% 購買 █████████ 90%
- 制作部に案件が集中している
- 営業部で承認待ち案件が8件ある
- 経理部への情報到着が平均1.8日遅れている
部署間のボトルネックを可視化することで、経営者と現場が同じ情報を見ながら、人員、期限、優先順位を調整できます。
AIで会社全体を一つのワークフローとして扱う
AI導入では、営業AI、経理AI、総務AIのように、部署ごとの効率化を考えがちです。しかし企業では、部署内の作業よりも「部署と部署の境目」で情報が止まることがあります。
AIで会社全体を一つのワークフローとして扱う。この視点が、AI社内連携ハブの中心です。
実装時には、最初からすべてを自動化しません。個人情報、契約、会計、支払、対外連絡に関わる処理には、権限管理、承認フロー、操作ログを用意します。効果は、受注後の転記回数、連絡漏れ、処理開始までの時間、承認待ち日数などで確認します。
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